受発注・請求 秘書|入金を消し込み、督促の下書きを作り、領収書を出す【育てる編①】

つまずき帳

お金が動いた“あと”の話は、いつも後回しになる

請求書を送ったあと。あなたの仕事は、本当はそこで終わっていません。

入金があったかを、通帳やネットバンキングをのぞいて確かめる。金額が合っているかを見る。「ああ、入った」とほっとして——でも、領収書はあとでいいやと、つい後回しにする。そして別の案件では、振込予定日を過ぎても入金がない。催促したいけれど、角の立たない言い回しが思いつかなくて、メールの下書きを開いては閉じる。「もう少し待とう」を何度か繰り返すうちに、今度は催促のタイミングを逃してしまう。

——請求書を作るところまでは、不思議と気合いが入るんです。なのに、お金が動いた“あと”の事務だけは、いつも頭の片隅に小さな付箋みたいに貼りついたまま。「あの請求、入金まだだっけ」「領収書、出してって言われてたな」——その付箋が、夜になっても剥がれてくれない。

正直に言うと、こういう“あと処理”って、ひとつひとつは数分の作業なんです。でも、数が増えると、頭の中の付箋の枚数が増えていく。そして付箋が増えるほど、「どれをまだやってないか」を覚えておくこと自体が、いちばん重い仕事になっていきます。

——頭の片隅に、あの付箋がある人。この先は、きっと効きます。

結果から言います = 入金消込・督促の下書き・領収書PDFが、選んでボタンひとつ

先に結論から。核(応用編その3)で一度貼ったコードのまま、今回の3つは「メニューのこの項目を押すだけ」で動きます。 新しくコードを貼り直す必要も、AIに何かを頼み直す必要も、ありません。育てる編は、ずっとこの約束で進みます。

やることは、受注台帳でその注文の行を選んで、メニューから押すだけ。

  • 入金があったら → 「選択行を入金済にする(入金消込)」 を押す。台帳に入金日と入金額が記録され、請求額との過不足まで教えてくれます。
  • 入金がまだなら → 「選択行に督促メール下書き(未入金)」 を押す。ていねいな督促文が、Gmailの 下書き としてできあがります(送信はしません)。
  • 入金が済んだら → 「選択行から 領収書PDF」 を押す。領収書がPDFになって、Driveに保存されます。

電卓も、文面を一から考えることも、番号の管理も、ありません。わたしがやるのは「どの注文に、何をするか」を選んでボタンを押すこと。 あとは秘書が、決まった手順で淡々と片づけてくれます。

そして今回も、わたしはコードを一行も書いていません。書いたのはAIで、わたしがやったのは、核の回で一度だけ貼って、許可しただけ。育てる編は、その同じコードに、もう入っている機能の“スイッチ”を順に押していくだけの回です。

① 入金があったら = 入金消込(メニューの「選択行を入金済にする(入金消込)」)

請求書を送って、入金があった。その「入った」を台帳に記録するのが、入金消込です。

入金消込:受注台帳の行を選んで「入金済にする(入金消込)」を押すだけ。入金日も金額も空欄でOK(今日・請求額が自動で入る)。請求額との過不足も自動で教えてくれて、状態が「入金済」に前進する

やり方は、こうです。

  1. 受注台帳で、入金があった注文の 行を選びます(その行のどこかのセルをクリックすればOK)。
  2. メニュー 「受発注秘書」→「選択行を入金済にする(入金消込)」 を押します。
  3. 入金日 を聞かれます。2026-06-26 のような形(YYYY-MM-DD)で入れてください。空のままOKを押すと、今日の日付 になります。
  4. 次に 入金額(税込・円)を聞かれます。ここも 空のままOKを押すと、その請求書の税込金額 がそのまま入ります。請求額ぴったりが入金されたなら、空のままで大丈夫です。

これで、台帳の 入金日入金額 に値が入り、状態が 「入金済」 に前進します。

ひとつ、この秘書が気をきかせてくれるところ。入金額を入れると、請求額との「過不足」を計算して教えてくれます。 ぴったりなら過不足の注記は出ませんし、振込手数料が引かれていたり多かったりすれば、「いくら足りない/多い」と注記が出ます。手元で引き算しなくても、ズレに気づける、ということです。

安心材料を先に。この消込がやっているのは、台帳に 入金日・入金額を書き足すこと だけです。お金そのものは、一円も動かしません。 口座から引き落としたり、振り込んだりする機能は、この秘書は持っていません(理由は後ろの「正直にできないこと」で改めて)。あくまで「入金があったと自分が確認した事実」を記録するだけ、と思ってください。

なお——もしその行で すでに入金日が入っている と、「上書きしますか?」と一度確認が出ます。間違って二重に消し込んでしまわないための確認なので、覚えのないときは キャンセル を選べば、何も変わりません。

② 入金がまだなら = 督促メールの“下書き”を作る(メニューの「選択行に督促メール下書き(未入金)」)

支払予定日を過ぎても、入金がない。そういうときの、いちばん気が重い作業——督促のメール。あの「角を立てずに、でもちゃんと伝える」文面を、秘書が下書きまで用意してくれます。

督促メールの下書き:宛先・件名・ていねいな本文・請求書PDFの添付まで自動でそろう。ただし“下書き”止まり——「送信」を押すのは必ず自分の手で(秘書は自動送信しない)

やり方は、入金消込と同じ。

  1. 受注台帳で、未入金の注文(状態が 「請求済」)の 行を選びます
  2. メニュー 「受発注秘書」→「選択行に督促メール下書き(未入金)」 を押します。
  3. Gmailに、督促メールの下書き ができます。宛先(取引先マスタに登録があれば自動。無ければその場で聞かれます)、件名、ていねいな本文、そして請求書PDFの添付まで、ぜんぶ揃った状態で。

本文は、こちらの落ち度かもしれないという行き違いへのお詫びから入って、「本日時点で入金の確認がとれていない」旨を伝え、支払予定のご連絡をお願いする——という、相手を責めない構成になっています。署名には、自社情報に入れてある会社名・住所・メールが、入っているぶんだけ自動で並びます。

ここが、いちばん大事なところ。秘書は、督促メールを自分で送りません。 作るのは、あくまで 下書き まで。最後に内容を確かめて「送信」を押すのは、あなたです。これはわざとです。 督促は、相手との関係に直に触れるメール。宛先や文面を確かめないまま自動で飛ばしてしまったら、取り返しがつきません。だから、最後のひと押しだけは、必ず人の手に残してあります。

それと、念のため。状態が すでに「入金済」 の行でこれを押すと、「督促は不要です」と教えてくれて、中止します。「払ってくれた相手に督促を送る」という事故を、入り口で止めてくれる、ということです。

督促文に「ご請求日から○日経過しています」のような 経過日数 を添えるかどうかは、請求日が台帳に記録されているときだけ です。請求日が空だったり、うまく読めない形だったりするときは、経過の行は出しません(あいまいな日数で相手を急かさないため)。だから「必ず経過日数つきの督促が出る」わけではない——そこは正直に。詳しくは後ろの「裏側のしくみ」で。

③ 入金が済んだら = 領収書PDF(メニューの「選択行から 領収書PDF」)

入金が確認できて、台帳に消込もした。最後の仕上げが、領収書です。

適格簡易領収書PDF:登録番号(T…)と税率別の内訳(10%対象 税抜・消費税)が入った形。インボイスON×満額入金のときに出る「適格簡易請求書相当」の領収書(番号 RC-2026-0001・領収金額の囲み・但し書き・税注記つき)

やり方は、もうお分かりのとおり。

  1. 受注台帳で、入金消込が済んだ注文の 行を選びます
  2. メニュー 「受発注秘書」→「選択行から 領収書PDF」 を押します。
  3. 領収書がPDFになり、番号(RC-2026-0001 のような形)が自動で振られて、Driveの「受発注 書類」フォルダに保存されます。

ここで知っておいてほしいのが、領収書の 3つの顔 です。設定と入金の状況で、出てくる領収書の中身が変わります。

  • インボイスON × 満額入金 のとき → 税率別(10%・8%)の内訳が入った領収書 になります。これは「適格簡易請求書」に相当する形(消費税の登録番号と、税率ごとの消費税額が載るもの)。インボイス対応をしている人が、ちゃんとした領収書を出したいときの形です。
  • インボイスON × 一部入金(請求額の一部だけ入金)のとき → 税率別の内訳は出しません。 代わりに、領収した額とご請求額を併記して、「内訳は対応する請求書をご参照ください」と案内します。一部だけの入金で税率別の内訳を出すと、領収額と数字が食い違ってしまうから——あえて出さない、という正直な作りです。
  • インボイスOFF のとき → 内訳のない、シンプルな領収書になります。

なぜ「満額入金のときだけ内訳を出す」のか。一部入金のとき、領収書に請求満額の税率別内訳を載せてしまうと、「領収したのは5,000円なのに、内訳の合計は14,820円」という矛盾が起きます。それを避けるために、満額そろったときだけ内訳を出す、と決めてあります。この出し分けは、後ろの「裏側のしくみ」でもう一度ふれます。

なお、領収書を出す前に、入金の記録(入金日・入金額)が無いと、秘書は止まります。 「まだ入金消込がされていません。先に入金消込を」と教えてくれる、ということです。だから順番は、いつも ①入金消込 → ③領収書 です。

裏側のしくみ(ここは読み飛ばしてOK)

ここは、仕組みに興味がある人だけ、のぞいてください。読み飛ばしても、3つのボタンはちゃんと動きます。

  • 入金消込には「請求書、ちゃんと出した?」の見張りが入っています(請求未発行ガード)。 その行の 請求番号と請求日が、両方とも空 のとき——つまり「まだ請求書を出していない」とみなせるとき——だけ、消込を中止して「先に請求書PDFを」と案内します。逆に、どちらか一方でも入っていれば、そのまま消し込めます。なぜこんな見張りをつけたかというと、売上の集計やグラフ、会計CSVが 請求日を基準 に動くから。請求書を出していない注文を入金済にしてしまうと、あとで売上の集計から抜け落ちて、数字が合わなくなる。それを未然に防ぐための見張りです。
  • 督促の「経過日数」は、請求日が分かるときだけ出ます。 督促本文に「ご請求日から約○日経過」という行を入れるのは、請求日がきちんと記録されていて、今日までの日数が計算できたときだけ。請求日が空だったり、日付として読めない形だったりすると、その行は 出しません(内部では「経過日数 −1(不明)」として扱い、不明なら経過行を出さない、という作りです)。だから「必ず経過日数つき」とは言えません。あいまいな日数で相手を急かさないための、控えめな設計です。
  • 領収書の税率別内訳は、「インボイスON」かつ「満額入金」のときだけ。 インボイスがOFFなら、内訳はそもそも出しません。ONでも、入金が請求額の満額に届いていて(入金額が請求税込額以上)、かつ明細のある通常の受注のときだけ、税率別の消費税額を載せた「適格簡易請求書相当」の領収書にします。一部入金のときは、内訳を出さずに「請求書を参照」と案内する——領収額と数字が矛盾しないように、です。

大事なのは、この3つのボタンがやっているのも、基本は「読む・書き足す・新しく作る」だけ だということ。入金消込は台帳に入金日・入金額を書き足すだけ。督促は下書きを作るだけ。領収書はPDFを新しく作るだけ。既にあるデータを消したり、上書きしたりはしません(入金日の上書きだけは、必ず確認を挟みます)。あなたのデータに、まず傷を付けない設計です。

そして、もう一度だけ。「データが壊れない」ことと、「金額や税区分が正しい」ことは、別の話です。 前者は設計で守れますが、後者の最終確認だけは、人の目に残してあります。

正直にできないこと(先に言っておきます)

このブログのやり方として、できないことは先に正直に言います。今回の3つにも、はっきりした限界があります。

  • 送金・決済は、いっさい扱いません。 入金消込ができるのは「入金があったと自分で確認した事実を、台帳に記録する」ところまで。お金そのものを動かす機能(口座振替・送金・決済)は、持っていません。「入金済にする」は、お金を動かすボタンではなく、記録するボタン です。ここは絶対に誤解しないでください。
  • 入金があったかどうかの確認は、人がやります。 この秘書は、銀行口座を見て「入金があった」と自動で判定したりはしません。通帳やネットバンキングで確認するのは、あなたの仕事。秘書は、あなたが確認した結果を記録するだけです。
  • 督促メールは“下書き”止まりで、自動送信はしません。 督促の文面とPDF添付までは作りますが、送るのは必ずあなたの手で(誤送信と、関係を壊す事故を防ぐためです)。
  • 領収書の税区分の“正しさ”そのものは、保証しません。 税率別の内訳は、その注文の明細(10%/8%の区分)に基づいて出していますが、その区分の当てはめ自体が正しいかは別問題。適格簡易請求書として有効かどうかも含め、最後は人と専門家が確かめる前提です。
  • 「経過日数つきの督促」は必ず出るわけではありません。 請求日が記録されていないときは、経過日数の行は出ません(上で書いたとおり)。

——お金が動く事務を任せる相手が、こうして「ここまでしかやりません」を正直に申告してくれること。それ自体が、わたしはいちばん安心できるところだと思っています。

次回予告:育てる編②=在庫の引当と出庫

今回で、お金の輪——「受注 → 見積 → 請求 → 入金 → 領収」——の最後のピースがつながりました。請求して、入金を見張って、消し込んで、領収書を出すところまで。頭の片隅の付箋を、ひとつずつ秘書に預けられるようになりました。

次回は、お金とは別のもうひとつの輪、在庫 に入ります。

  • 育てる編②:在庫の引当と出庫。 受注した瞬間に在庫を「予約(引当)」して、納品で実際に在庫を減らす(出庫)。「在庫があると思って受けたのに、実は無かった」「同じ品を二重に売ってしまった」——あの冷や汗を、秘書が引き受けます。

これも、追加でコードを貼り直す必要はありません。 在庫の仕組みは、もう核の回で貼ったコードの中に入っています。次回も「メニューのこの項目を押すだけ」の解説です。コードが書けなくても、AIに任せて、ちゃんと同じところへたどり着けます。ここまで手を動かせたあなたなら、もう、この続きも越えていけます。


※本記事および本書類の税区分・記載は一般的な実務整理に基づく簡易対応です。真偽・税区分は判定していません。最後は、元記事および顧問税理士・国税庁の最新情報でご確認ください。コードは、一行も書いていません。

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