前日の夜の「送らなきゃ」が、いちばん剥がれない付箋になる
講座やイベントの前日の夜。参加してくれる人たちに、「明日はよろしくお願いします」のご案内を送るかどうか——あれ、地味に悩ましくないですか。
送ったほうが親切なのは、分かっているんです。日時と場所をもう一度添えておけば、「あれ、何時からだっけ」の問い合わせも、うっかりの欠席も減る。でも、前日の夜って、こちらも準備でいちばん忙しい。資料の最終チェックをして、会場の持ち物をそろえて、それからようやく参加者の一覧を開く。キャンセルした人を除いて、一人ずつ宛先を確かめて、日時を打ち間違えていないか読み返して……とやっているうちに、「キャンセルした人にまで『明日です』を送ってしまったらどうしよう」と手が止まる。そして何より怖いのが、送り忘れたことに、当日の朝、気づくことです。
しかも、この仕事のいやらしいところは、メール自体はぜんぜん難しくないことです。文面なんて毎回ほとんど同じ。難しいのは、「前日になったら、忘れずに思い出す」ことのほう。カレンダーに「リマインダー送る」と書いておく人もいると思います——つまり、リマインダーを送るためのリマインダーです。どこかで誰かが見張っていないと、動かない仕組みなんです。
つまり前日リマインダーの正体は、メールを書く作業ではなくて、「前日になったら思い出す」という見張り番なんです。今回は、その見張り番を秘書に渡します。あわせて、募集の様子を毎朝知らせてくれる定期報告も、同じやり方で頼みます。
結果から言います = 押したのはメニュー2回。あとは全部、秘書が動いた
先に結論から。核(応用編その4)で一度貼ったコードのまま、今回やったのはメニューを2回押しただけです。
- 「前日リマインダーを予約する」 を1回。→ 以降、毎夕18時台に秘書が「明日は開催日か?」を見回り、前日のときだけ、状態が「確定」の人全員に案内メールを送ります。
- 「毎朝まとめを予約する」 を1回。→ 以降、毎朝7時台に「きのうの申込まとめ」が自分に届きます。
コードの貼り直しも、公開ページのデプロイし直しも、していません。育てる編①(キャンセル待ち)が『設定』のセル1つ、②(承認制)もセル1つだったのに対して、今回はセルすら触りません。押すのは、メニューの「予約する」だけ。 そして今回も、わたしはコードを一行も書いていません。
ここまでの回と違うのは、今回の機能が「押した瞬間」ではなく「押したあと」に動くことです。①も②も、メニューを押せばその場で結果が見えました。今回は、押した瞬間に起きるのは「予約」だけ。本番が動くのは、翌日の夕方と、翌朝です。だからこの記事は、押した日と、届いた日——2日がかりの実機記録になっています。
① 「前日リマインダーを予約する」を、1回だけ押す
やり方は、これで全部です。
- スプレッドシートのメニュー 「申込・予約秘書」→「前日リマインダーを予約する」 を押す。
以上。ダイアログで何かを入力することもありません。押した数秒後、自分宛てにこんなメールが届きました。
件名:【予約完了】前日リマインダー
毎夕18時台に「開催日の前日かどうか」を見回り、前日のときだけ、状態が「確定」の申込者全員へリマインダーメールを送る予約ができました。
※前日の夕方より後に確定した方には届きません(その方には確認メールが控えです)。

この「予約完了メール」は、ただの挨拶ではありません。届けば予約成功、という証拠です。「押したつもりが予約できていなかった」を、実行ログの画面を開いて確かめにいかなくても、受信箱を見れば分かる——そういう作りになっています。そして読んでほしいのは、※印の一文です。「前日の夕方より後に確定した方には届きません」。自分の限界を、予約の受領書に自分から書いてくるんです。この正直さについては、あとでもう一度触れます。
安心材料をふたつ。まず、間違えて2回押しても、リマインダーが2通になることはありません。 この予約は「先に同じ予約を全部消してから、1つだけ作り直す」動きなので、何度押しても予約は常に1つです。それから、やめたくなったら 「前日リマインダーを解約する」 を1回。予約と対になる〈解約〉も同じ設計で用意されていて、消した予約の件数を【解約完了】メールで知らせる作りになっています。
ひとつだけ、GASの仕様の話。「18時台」というのは、18時00分〜19時00分のどこかという意味です。この時間ベースの予約は、分単位までは指定できません。「18時ちょうどに」は選べない——そこは正直に。
そして翌日、18時10分 = 確定した3人にだけ、「明日です」が届いた
予約した翌日が、ちょうど開催日の前日でした。わたしは、何もしていません。シートも開いていません。
18時10分。受信箱に、3通届きました。テストの申込者は全員わたし自身のアドレスにしてあるので、確定者3名分のリマインダーが、宛名違いで同じ受信箱に並んだわけです。件名は——
【前日のご案内】明日は テスト講座 です
本文には「いよいよ明日の開催です。」の一文に続いて、開催日時:2026年7月13日(月)10:00〜と場所の案内、そして「お気をつけてお越しください。お会いできるのを楽しみにしています。」。『設定』シートに書いたイベント情報が、そのまま案内文に差し込まれています。

ここで見てほしいのは、届いた数が「3」だったことです。このときの申込一覧には6行ありました。育てる編①と②のテストを経て、キャンセルが2人、お断りが1人、確定が3人。リマインダーが届いたのは、状態が「確定」の3人だけです。キャンセルした2人と、お断りした1人には、届いていません。キャンセルした人に「明日です」を送ってしまう——冒頭で怖がっていたあの事故は、秘書が台帳の「状態」の札を1行ずつ見て選ぶので、起きません。前日の夜に参加者一覧とにらめっこして宛先を選り分ける、あの神経を使う仕事が、まるごと要らなくなりました。
送り終えた行には、台帳のH列(通知記録)に「リマインダー済」の札が付きます。この札がある行には、もう送りません。「毎夕1回しか動かない」「前日にしか送らない」「送った行には札が付く」——三重の仕掛けで、同じ人に2通いく事故を防いでいます。
② 「毎朝まとめを予約する」= 朝7時46分の定期報告
もうひとつの予約も、押し方は同じです。メニューの 「毎朝まとめを予約する」 を1回。すぐに【予約完了】毎朝の申込まとめ(申込・予約秘書)のメールが届いて、「毎朝7時台に『きのうの申込まとめ』を届ける予約ができました。次の朝から、誰も画面を開いていなくても自動で届きます(0件の日も届きます)。」と教えてくれます。
そして朝、7時46分。届いたのがこれです。
件名:【申込まとめ】テスト講座 きのう(7月11日(土)):2件

本文には、期間、申込件数(参加人数の合計つき)、状態の内訳(確定・承認待ち・キャンセル待ち・キャンセル・お断り)、いまの残席(定員)、そして1件ずつの申込一覧。最後に「止めたいときは『毎朝まとめを解約する』を実行してください」の案内まで。募集がどこまで埋まっているかを、シートを開かずに、朝の1通で把握できます。
とくに効くのが「いまの残席」の行だと思っています。件数の報告は「きのう何件来たか」という過去の話ですが、残席は「いま何席あるか」という現在の話。募集期間中の朝、この1行を見るだけで、「そろそろ満席だな」「まだ告知を続けよう」の判断がつきます。定員のある募集の見張り番として、これがいちばん知りたい数字だからです。
これは、基礎編の毎朝まとめの回で作った仕組みの、申込・予約秘書版です。設計の考え方も同じで、0件の日も「0件でした」が届きます。 無音だと「申込ゼロ」と「故障」の区別がつかないからで、毎朝届くこと自体が「今日も見回りが動いた」という生存報告になっています。それと、このまとめには申込者のメールアドレスは載せません。毎朝のメールに、個人情報を増やさないためです。
ひとつ注意を。基礎編の受付ページで毎朝まとめを動かしている人は、こちらでも予約すると毎朝2通届きます(予約完了メールにも、その注記が書いてあります)。別々の台帳の報告なので壊れはしませんが、2通は要らないという人は、どちらかを解約してください。
裏側で、いま何が起きているのか(ここは読み飛ばしてOK)
仕組みに興味がある人だけ、のぞいてください。読み飛ばしても、2つの予約はちゃんと動きます。
- 予約の実体は、GASの「トリガー」です。 Apps Scriptのトリガー画面を開くと、時計マークの予約が2件並んでいます。「予約する」を押すというのは、この時計を1個仕掛けることです。

- 「予約する」は、何度押しても1つです。 予約の関数は、まず同じ見回りの予約を全部消してから、新しく1つ作ります。だから「2回押したから毎日2回見回りが来る」ということが、仕組みとして起きません。ボタンを押す人が予約の数を覚えておかなくていい、ということです。
- 「前日かどうか」は、東京時間の日付同士で比べます。 毎夕の見回りは、開催日と「あすの日付」を年月日の形でそのまま比べる作りです。時刻のブレや時差に揺れない、いちばん堅い比べ方です。前日でなければ、その日は何も送らずに帰ります。毎夕来ているのに気配がないのは、正常です。
- 「リマインダー済」の札は、上書きではなく追記です。 H列の通知記録には、繰り上げのお知らせなど、ほかの札も付くことがあります。新しい札で古い札を消してしまうと、二重送信を防ぐ記録が壊れる——だから、必ず読んでから書き足す作りになっています。
- 1人分の失敗で、全員分を止めません。 誰かのアドレスに送れなくても、次の人には送ります。送れた行にだけ「リマインダー済」の札が付くので、札の無い行=送れなかった行と、台帳を見れば分かるようになっています。
- 開催日がまだ書かれていなければ、何もしません。 見回りには来ますが、静かに帰ります。エラーにはなりません。
つまずき帳の再掲:開催日は、「本物の日付」で書いてください
核の回で書いたつまずきを、ここでもう一度だけ。わたしは最初、『設定』の開催日に「明後日」と言葉で書いていました。人間には通じますが、秘書には日付として読めません。読めない日付は「無いもの」として安全側に倒されるので、壊れはしない——でも、リマインダーの見回りは「開催日が書かれていない」と判断して、静かに何もしません。
これ、リマインダーでは特にたちが悪いんです。エラーも出ない、メールも来ない、ただ送られない。前日の夜に「あれ、届いてない」と気づくのでは、見張り番を雇った意味がありません。開催日と締切日時のセルは、2026/07/13 のような、カレンダーの日付としてシートが認識する形で入れてください。セルを選んだとき、数式バーに日付として表示されていれば大丈夫です。
正直にできないこと(先に言っておきます)
今回も、できないことは先に正直に。
- 前日の夕方より後に確定した人には、届きません。 見回りは毎夕18時台の1回だけ。それより後に申し込んで確定した人には、リマインダーは送られません(その人には、申込直後の確認メールが控えになります)。予約完了メールにも、この限界がはじめから明記されています。
- 送るのは前夜の1回だけです。 当日の朝にもう一度、のような再通知はありません。
- 時刻は「18時台」「7時台」までしか選べません。 分単位の指定は、GASの時間ベースの予約ではできない仕様で、時刻は日によって前後します(毎日きっちり同じ分に届くわけではありません)。実機では、前日リマインダーが18時10分に、毎朝まとめが7時46分に届きました。
- 開催日が読める日付で入っていないと、動きません。 上に書いたとおりです。壊れませんが、送られません。
- 基礎編の毎朝まとめと両方予約すると、毎朝2通届きます。 仕様であり、片方の解約で解決します。
——リマインダーを任せる相手が、「夕方以降に確定した人には届きません」と予約の受領書に自分から書いてくること。今回わたしがいちばん信頼したのは、そこでした。
次回予告:育てる編④ = ポケットに、管理画面
これで秘書は、受け付けて、締めて、列を作り、判断を仰ぎ、前夜のご案内と毎朝の報告までするようになりました。残る引き出しは、あと1本です。
- 育てる編④「ポケットに管理画面」:受付ページと同じURLの中に、主催者本人にしか開けないもう1つの入り口が最初から用意してあります。スマホで開くと、残席メーターと申込一覧、そして「確定にする」「キャンセルにする」のボタン。外出先で「キャンセルの連絡が来た」に、ポケットの中から応えられるようになります。
もちろん、コードは貼り直しません。管理画面は、核の回であなたが貼ったコードの中に、もう入っています。公開中の受付ページにも、一切触りません。ここまで来たあなたなら、最後の引き出しも、開けるだけです。
※この記事の操作はすべて無料枠の範囲で行っています。画面のお名前・メールアドレス・各種ID/URLは、マスクまたは架空のサンプルに差し替えています。画面の表示や許可画面の文言は時期や環境により変わることがあるため、最新の内容はご自身の環境でご確認ください。コードは、一行も書いていません。
#AI×GAS #応用編その4 #申込予約 #育てる編 #リマインダー #トリガー #非エンジニア



コメント