「誰でも、申し込んだ瞬間に確定」が、いつも正解とはかぎらない
核の回で雇った申込・予約 秘書は、いまのところ即答型です。申込が届いた瞬間に席を数えて、空いていれば「お席は確定です」のメールを、その場で返す。定員と締切は守ってくれるし、満席になればページが自分から閉まる。募集のかなりの部分は、これで足ります。
でも、思い出してみてください。「申し込んでくれたのはうれしい。でも、即・確定はちょっと怖い」——そういう募集が、たしかにあります。
経験者向けの講座に、明らかに初めてらしい方から申込が来たとき。会員限定の集まりに、お名前に覚えのない方が並んだとき。人数の読みがシビアな会で、「この申込、ほんとうに受けて大丈夫かな」と一拍おいて考えたいとき。募集要項に「参加には条件があります」と書いてある催しなら、なおさらです。申込フォームは条件を読んでくれません。条件に合うかどうかを見られるのは、人間だけです。
即答型の受付では、その一拍が挟めません。申込と同時に「確定です」のメールが飛んでしまったら、あとから「実はお受けできません」と取り消すことになる。一度「確定」と言ってから撤回するのは、最初から「検討します」と言うより、ずっと重いんです。
今日は、その一拍を作ります。申込と確定のあいだに、あなたの判断を挟む——承認制です。
結果から言います = セルをONにするだけで、申込は「仮受付」で止まる
先に結論から。核の回で一度貼ったコードのまま、承認制は『設定』シートのセルをひとつONにするだけで始まります。 新しくコードを貼り直す必要も、公開ページのデプロイし直しも、ありません。育てる編は、ずっとこの約束で進みます。
今日、触るのはこの3つだけです。
- 『設定』シートの 【承認制(ON・OFF)】を
ONにする - 申込が来たら、メニューの 「選択行を承認する」 を押す
- お受けできないときは、メニューの 「選択行をお断り下書きにする」 を押す
これだけで、受付の流れがこう変わります。申込者には、まず「仮受付しました」が返る。あなたが台帳を見て、承認ボタンを押した人にだけ「確定のお知らせ」が届く。そして、お受けできない方へのお断りのメールは——秘書は送りません。 Gmailの下書きを作るところまでで止まります。送信ボタンを押すのは、あなたです。
今回も、わたしはコードを一行も書いていません。承認の仕組みも、お断りの下書きも、核の回であなたが貼ったコードの中に、もう入っています。
① スイッチを入れる = 『設定』の【承認制】を ON に
やることは、本当にこれだけです。『設定』シートの【承認制(ON・OFF)】の行のB列を、OFF から ON に書き換える。

コードは触りません。公開し直しもしません。核の回で見たとおり、この秘書はページを開かれるたび・申込が届くたびに『設定』シートを読み直す作りなので、セルが変わった次の瞬間から、受付の判断が変わります。
ひとつだけ、先に知っておいてほしい約束があります。承認制がONのあいだ、新しく届く申込は、ぜんぶ「承認待ち」で止まります。 「この人は顔見知りだから自動で確定、この人だけ承認待ち」という選り分けは、しません(それこそ人の判断なので、確定に進める操作のほうを人に残してあります)。定員と締切の見張りは、これまでどおり動き続けます。
② 申し込んでみる = 「受け付けました」が「仮受付しました」に変わった
実機で確かめます。この台帳は、ここまでの検証(核の受付・育てる編①のキャンセル待ち)を経て、すでに何人か確定・キャンセル済みの状態です。そこにテスト用の架空の申込者、髙橋四子さんに登場してもらいました(メールはわたし自身のアドレスです)。
スマホで受付ページを開いて、申し込む。すると完了画面が、これまでの「受け付けました」ではなく、こうなりました。
仮受付しました
お申し込みを仮受付しました(主催者の承認をもって確定となります)。
確定しましたら、あらためてメールでお知らせします。

「確定です」とは、もう言いません。「主催者の承認をもって確定となります」——秘書が申込者に、正直にそう告げるようになりました。
届いたメールも変わっています。件名は「【仮受付】テスト講座 のお申し込みを受け付けました」。これまでの【受付完了】ではなく、【仮受付】。本文にも「この講座・イベントは承認制のため、主催者の承認をもって確定となります」「確定しましたら、あらためてメールでお知らせします」とあり、添付の控えPDFの受付区分も「承認待ち」になっていました。申込者の手元に残る控えまで、「まだ確定ではない」で揃っています。

台帳の『申込一覧』を見ると、髙橋さんの行の状態は「承認待ち」。そしてここが地味に大事なところなのですが、フォームの残席の目安が、この仮受付の時点で「残り2席」から「残り1席」に減っていました。 承認待ちの席は、仮押さえなんです。「承認するまで席は空いている」扱いにしてしまうと、承認待ちを何人も抱えたまま新しい申込を受けて、承認した瞬間に定員を超える——という事故が起きます。だから秘書は、承認待ちの時点で席を確保しておく。この理屈は「裏側のしくみ」でもう一度ふれます。
③ 承認する = 行を選んで、メニューをひとつ
さて、申込が「承認待ち」で止まっています。ここからが、あなたの仕事です。台帳を見て、お受けすると決めたら——
- 『申込一覧』で、その方の行を選びます(行のどこかのセルをクリックすればOK)。
- メニュー 「申込・予約秘書」→「選択行を承認する」 を押します。
実機では、押した数秒後にこう返ってきました。
髙橋 四子 さんを承認し、「確定」にしました。確定のお知らせメールを送りました。

台帳の状態は「承認待ち」から「確定」へ。申込者の受信箱には、件名「【確定のお知らせ】テスト講座 のお申し込みが確定しました」のメールが届いていました。本文は「仮受付していたお申し込みが承認され、お席が確定しました。当日のお越しをお待ちしています。」——仮受付のときの予告どおり、あらためてのお知らせが、ちゃんと届いたわけです。

そして台帳のいちばん右、「通知記録」の列には「承認確定メール済」の札が付きました。この札があるかぎり、同じ行でもう一度承認を押しても、確定メールが二重に飛ぶことはありません。承認そのものも同じで、すでに確定している行で押すと「この行はすでに「確定」です(何もしていません)。」と返ってくるだけ。承認待ちではない行(キャンセルやお断り)で押しても、「承認できるのは承認待ちの行だけです」と断られます。押し間違いが、事故にならないようにできています。
④ お断りする = 秘書が作るのは、「下書き」まで
承認制にした以上、避けて通れないのが、お受けしない判断です。もうひとり、テスト用の申込者・伊藤五実さんに申し込んでもらい、この方はお断りすることにしました。
- 『申込一覧』で、伊藤さんの行を選びます。
- メニュー 「申込・予約秘書」→「選択行をお断り下書きにする」 を押します。
返ってきたダイアログが、この機能の設計思想の全部です。
お断りメールの“下書き”をGmailに作りました(自動では送信しません)。
Gmailの下書きを開き、理由の一文を書き添えてから、ご自身で送信してください。※お断りで席は空きますが、キャンセル待ちの自動繰り上げは行いません(繰り上げはキャンセル操作のときだけ)。
台帳の状態は「お断り」になりました。でも、この時点で伊藤さんには、何も届いていません。 実機でも確かめました——本人宛のメールはゼロ。代わりに、わたしのGmailの下書きフォルダに、宛先・件名「【テスト講座】お申し込みについて」・本文まで揃ったメールが、未送信のまま置かれていました。

本文は、お申し込みへのお礼から入って、「誠に恐れ入りますが、今回はご参加をお受けできない運びとなりました」と伝え、そのすぐ下に、こう書いてあります。
(お断りの理由をここに書き添えてください)
下書きは、Gmailを開いて左側の「下書き」フォルダにあります。件名でも探せます。
穴あきです。わざと、です。 お断りの理由は、募集の事情ごとに、相手ごとに違います。定員の都合なのか、対象条件なのか、日程なのか。そこを定型文やAIの作文でそれらしく埋めてしまうのは、相手に対して不誠実だと思うんです。だから秘書は、骨組みの文面と宛先と件名——気の重い作業の8割——までを整えて、いちばん大事な一文と、送信ボタンだけを、あなたに残します。
この線の引き方は、じつは前作からの継承です。受発注・請求 秘書のときも、督促メールは下書きまでと決めました。相手との関係に直に触れる重いメールは、秘書に送らせない。 確認メールやご案内のような軽いメールは自動で送る。この「メールの軽重で線を引く」が、うちの秘書たちの一貫した家訓です。
もうひとつ、ダイアログの最後の注意書きも実務では大事です。お断りにすると席はひとつ空きますが、キャンセル待ちの自動繰り上げは動きません。 自動で繰り上がるのは、前回(育てる編①)のキャンセル操作のときだけ。お断りは人の判断の場面なので、空いた席に次の誰かを入れるかどうかも、人が決める——そういう役割分担にしてあります。
裏側のしくみ(ここは読み飛ばしてOK)
ここは、仕組みに興味がある人だけ、のぞいてください。読み飛ばしても、承認制はちゃんと動きます。
- 承認待ちは、席を使います(仮押さえ)。 残席の計算で「席を使っている」と数えるのは、状態が「確定」と「承認待ち」の行。だから承認待ちが入った時点で残席の目安が減り、承認待ちを溜め込んでも定員は超えません。承認は「空いている席を確定に変える」操作であって、「新しく席を取りに行く」操作ではない、ということです。
- 確定メールの二重送信は、「通知記録」の札で防ぎます。 承認のときに「承認確定メール済」の札が付き、札のある行にはもう送りません。しかもこの札は、メールが送れたときだけ付きます。万一送信に失敗したときは「状態は確定にしたが、メールは失敗した」と正直に報告して、札は付けない——つまり、あとからもう一度操作すれば送り直せる、という作りです。
- 承認の入り口は、狭くしてあります。 承認やお断りは「申込者の運命を変える」操作なので、動くのはスプレッドシートのメニュー(=台帳を開けるあなた)からだけ。公開ページの裏側から、外部の誰かがこの処理を呼び出せない構造になっています(核の回のプロンプトで、AIに最初からそう頼んであります)。
- お断り下書きは、メールアドレスがないと作れません。 メール欄が空の行で押すと、「下書きは作れないため、状態だけ手で「お断り」にしてください」と案内されます。できないことを、できないと言うだけの正直な挙動です。
正直にできないこと(先に言っておきます)
このブログのやり方として、できないことは先に正直に言います。承認制にも、はっきりした限界があります。
- 承認は、人がやります。だから、放っておくと申込者は待ちっぱなしになります。 承認制の便利さは「即答しない」こと、そのままの裏返しで「あなたが承認するまで返事が来ない」ことでもあります。仮受付メールに「確定したらお知らせします」と約束している以上、台帳をたまに見る習慣(あるいは育てる編④で登場する、ポケットの管理ページ)とセットで使ってください。
- 誰を承認すべきかは、判断してくれません。 秘書がやるのは、仮受付で止める・承認を確定に変える・お断りの下書きを作る、という手続きだけ。「この申込は条件に合うか」を考えるのは、最初から最後まであなたです。
- お断りのメールは、最後まで自動では送りません。 理由の一文を書き添えて、送信ボタンを押すのはあなたの手です。ここは不便のようでいて、この機能でいちばん壊してはいけないところだと思っています。
- お断りで空いた席への繰り上げも、自動ではしません。 上に書いたとおり、自動繰り上げが動くのはキャンセル操作のときだけです。
- 承認待ちも席を数えるので、承認待ちが多いと満席表示になります。 仮押さえの安全策の裏返しです。「とりあえず全員仮受付で受けて、あとで選ぶ」型の抽選募集をやるなら、定員より承認待ちが先に積み上がる前提で、定員の数字を考えてください。
——受付を任せる相手が、「ここから先は、あなたの仕事です」と手を止めて渡してくれること。承認制とは結局、その手を止める場所を仕組みにしたものなんだと、実機を触りながら思いました。
次回予告:育てる編③ = 当日前夜、確定した人みんなに前日リマインダー
申込を受けて、締めて、列を作って、人の判断まで挟めるようになりました。残る心配ごとは、当日です。「明日ですよ」のひと声があるかないかで、当日の空席はけっこう変わります。でも、開催前夜のあなたは、たいてい準備でいちばん忙しい。
次回は、メニューで“予約”を1回押すだけ。開催日の前日の夕方に、確定した人みんなへ、秘書が前日リマインダーを送ります。 もちろん、コードは貼り直しません。その道具も、あなたが核の回で貼ったコードの中に、もう入っています。
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